ヴィーガン生活は難しい?ヴィーガン管理栄養士Piggyさんに聞いてみた!【ヴィーガン管理栄養士Piggyさんインタビュー前編】
今回はカナダでヴィーガン/ホリスティック栄養士として働くかたわら、SNSでも栄養情報や環境問題について発信し、ホリスティック栄養相談も行っているPiggyさんにインタビューさせてもらいました!
ヴィーガン管理栄養士Piggyさんへのインタビュー前半では、実際にヴィーガンに移行することは難しいのかPiggyさんの実体験も含めてお聞きしています。
(※記事内の写真はすべてPiggyさんのブログからのご提供です)
- ヴィーガンに移行する際、苦労はあった?
- 栄養面での心配は必要ない!
- できることから一つ一つ、段階を踏んで実践してみる
- お金を払うことは、投票することと同じ。一円一円の自分の選択の先を意識して
- まとめ
- 編集後記
ヴィーガンとは?
ヴィーガンとは、ヴィーガニズムの定義である「可能な限り、動物の搾取を減らそうとするライフスタイル」に沿った人たちのことを指します。ヴィーガンの人は、肉・魚・卵・乳製品・はちみつなどの動物性食品の摂取をしないだけではなく、革製品の物や動物実験の行われた製品を買いません。「完全菜食主義者」とも訳されます。
ヴィーガンに移行する際、苦労はあった?
――Piggyさんはペスカタリアンからベジタリアン、そしてヴィーガンへと段階を踏んで移行なさったんですよね。その期間がそれぞれ1週間ほどとかなり短かったようですが、スムーズに移行出来たのでしょうか?
そうですね、ヴィーガンになるまでの期間はかなり短かったです。動物が肉になる過程を見た時にもうお肉は食べられない、とペスカタリアン(肉を食べない)になりました。
その1週間後にたまたまtiktokで日本の旅館で魚がさばかれる動画を見て、魚に痛覚はないと聞くけれどそんなふうには思えなくて。お寿司も好きでしたが、ベジタリアン(肉・魚を食べない)に移行しました。
自分でリサーチしていくうちにアニマルライツアクティビスト、動物の権利と尊厳を守る活動をする人たちが牛乳や卵について言及している動画に辿り着きました。(オーストラリア発祥のアニマルライツグループAnnonymous For Voiceless)
www.anonymousforthevoiceless.org
牛は人工的に妊娠させられて、ミルクが出なくなったら捨てられて屠殺場で安いお肉にされる。卵を産ませるために鳥は酷い環境に詰め込まれて、太りやすく品種改良されて足が変形したり、胸が肥大してしまったりした末に、卵を産まなくなったら屠殺される。卵をとれるのはメスだけなのでオスはヒヨコのうちにグラインダーにかけられて殺されてしまう。
直接ではないけれど、牛乳を飲むことも卵を食べることも動物を殺すことに繋がるのだと理解した日からヴィーガンになりました。きっぱりと決めたので、苦労はなかったですね。
栄養面での心配は必要ない!
――ヴィーガンに移行する時点ですでにPiggyさんは栄養士の資格を持っていたのですよね。栄養についての不安はとくには感じなかったのでしょうか?
お肉はタンパク質、鉄分、ビタミンB12などの供給源ですが、そこを植物でまかなえればお肉を食べなくてもまったく問題はないので、栄養面に関しては不安はありませんでした。
実際に私が作成したプラントベース(植物由来の)食事プランでは、必要量の約倍量であるタンパク質が含まれていました。
豆類と穀類を同時に食べることでアミノ酸スコアを上げたり、ビタミンCとノンヘム鉄を同時に食べたりなど、栄養素の効率的なはたらき方を意識することも大切です。
それでも食事で補えず不足してしまう栄養素は、サプリメントを摂取するが必要が出てくると思います。個人的にはサプリメントは好きではありませんが、動物を殺して栄養をとるよりもヴィーガン認証の人間が生み出した栄養サプリメントの方がよっぽどエシカルですよね。ブログではヴィーガンにおすすめのサプリメントも紹介しています。
生理痛が激減、風邪をひくこともなくなった
――ヴィーガンになってなにか心身の変化はありましたか?
いろいろあるのですが、とくに顕著だったのは生理痛・PMSがぱったり無くなったことですね。私はいつもPMSで頭痛や腰痛に悩まされていて、生理も部活中に貧血と痛みで倒れてしまうほど酷かった。
ヴィーガンに移行してからは、少し痛む時もあるけれど酷い状態になることはまずありません。気分の浮き沈みもなく、症状がぱったりなくなって自分でも驚いています。
風邪もひかなくなりました。以前は毎年1回は風邪をひいていて、高熱で緊急治療室に運ばれたことも。ヴィーガンになる前と比べて、野菜や豆類を毎日たくさん摂るようになったから風邪をひかなくなったのだと思っています。
野菜には免疫力アップに繋がる抗酸化物質が多く含まれていて、ビタミンも豊富。動物性食品は腸内で腐りやすく、腸内環境の悪化に繋がります。腸内には免疫システムの70~80%が集まっているので、腸内環境が悪くなると免疫力も低下して風邪をひきやすくなる。
動物性食品を食べることをやめて、そのサイクルを断ち切ったので免疫力が上がったのだと思います。ヴィーガンになってからは健康そのものです。
当時悩まされていたうつ病もかなり良くなって、ものごとをポジティブに考えられるようになりました。
――考え方にも好影響がみられたんですね。
優しくなれていると感じます。食べ物を買う時も、日用品を買う時も、衣食住すべてにおいて動物からの搾取をしていないものを選ぶことが影響していると思います。心が穏やかになりました。
できることから一つ一つ、段階を踏んで実践してみる
――これからヴィーガンに移行する人にアドバイスをいただけますか?
そうですね、栄養士としての立場からとアニマルライツアクティビストとしての立場からのアドバイスをしますね。
健康に関しては、心配しなくていいということを伝えたいです。ヴィーガンでも、タンパク質やビタミンB12、ビタミンD、カルシウム、オメガ3の摂取などに気を付けていれば健康を保てます。体に悪影響のある飽和脂肪酸やLDLコレステロールの摂取減少が見込めることで、慢性的な病気リスクを下がり、肉食時より健康的になれます。
ホリスティック栄養士としてはオーガニックや無添加にこだわって、精製食品の摂取を減らしてホールフード*1で食べて欲しいです。
やったほうがいいことはたくさんあるのですが、全部一緒にやるのは大変なので、継続するためにはできることからひとつずつ始めていくのが大切だと思います。
例えば今週は小麦粉は絶対に食べない、代わりに米粉やオーツフラワーを使ってみる。それをクリアしたら、今度は白砂糖をやめてみる。
オーガニックに関しては、私も参考にしているEWGという団体が出している"Dirty 12(ダーティダズン)"、"Clean 15(クリーン・フィフティー)"という残留農薬が多い食品と残留農薬が少ない食品のリストを見て、残留農薬が多い食品をオーガニックにしてみるのがおすすめです。
なにができるか自分で考えて、一歩一歩できることを増やしていくことが大切です。
お金を払うことは、投票することと同じ。一円一円の自分の選択の先を意識して
―― アニマルライツアクティビストとしてはどうですか?
アニマルライツに関しては、一歩ずつというのはあてはまりません。動物から搾取しているものにお金を払う限り、動物の犠牲は無くならない。
私たちが持っているお金、一円一円はどの会社を選ぶかという投票なんですよ。議員を選ぶ投票と同じ。
食の選択はお肉を選んでお金を払うと、そのお金がお肉の製造会社に入り、動物を殺すために使われる。買い物する時に自分のお金がどこに行くのか、その先で何が起こっているのかを自分でリサーチして欲しいです。
もちろんアニマルライツアクティビストの人たちが流している動画をたまたま見ることもヴィーガンになるきっかけになると思うのですが、そこで大事なのは「気になってもっと調べようとすること」です。自分から動物や環境に関してリサーチして、ヴィ―ガンになるかならないか判断してほしいです。
人から言われるのと自分で調べるのとではインプットされる情報量や意志の強さがまったく違うので、自分で調べることはヴィーガン生活を始めてからの挫折を防ぐことにも繋がります。
私もヴィーガンについて人から聞いただけのときは他人事として捉えていて、ヴィーガンになろうなんて考えもしませんでした。自分で調べて納得した上でヴィーガンという生き方を選択することが大事ですね。そうやって選択してヴィーガンになった人は、肉食に逆行することは滅多にないんじゃないかなと思います。
まとめ
Piggyさんがヴィーガンになって感じた心身の変化
・生理痛・PMSの症状がなくなった
・免疫力が上がり、風邪をひかなくなった
・ポジティブになり、心が穏やかに
・要点を抑えていれば、栄養面での心配はいらない!
(ヴィーガンの栄養についてはPiggyさんのブログで詳しく説明されています☆)
・オーガニック食品や非精製食品への移行は一歩ずつでOK
(参考にする各食品の残留農薬量の表→EWG's Shopper's Guide)
・自分で調べて、納得してお金を使うことを意識する
編集後記
健康面でも環境面でもメリットのあるヴィーガン生活。まずはヴィーガン向け食品を買ってみたり、ヴィーガンカフェを利用したりなどを通して、動物を搾取していない会社を支援することから始めてみてもいいかもしれません。
Piggyさんのブログではヴィーガン料理のレシピや健康、栄養についてのTipsが紹介されています。レシピ作成やホリスティック栄養相談も受け付けているので、栄養面で不安がある方はぜひ一度ご相談してみてはいかがでしょうか?
インタビュー後編では、piggyさんがヴィーガンを選択する理由やきっかけ、さまざまな活動の根底にある想いをお聞きします!